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新着情報

VICアカデミーを開催しました

2021年 01月 07日

VICアカデミーとは、弊社理念にある「学習と成長」の実践の一つとして開催しているVIC社員及び関係者の
ための勉強会です。

今回は、キリンビール株式会社の人事部にて「KIRINスピリッツ」の策定・浸透の実務責任者としてご活躍され、
その後キリンマーケティング株式会社 宮城支社長として現場でマネジメントを実践された経験を持ち、
現在は草津温泉最大級の草津温泉ホテルヴィレッジを運営されている株式会社中沢ヴィレッジ代表取締役社長
小西弘晃氏をお招きし、「KIRINで学んだこと 草津で実践していること」をテーマにお話いただきました。

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     日にち : 2020年12月3日(木)
     テーマ : KIRINで学んだこと 草津で実践していること
          ~ど素人の“あたまりまえ”経営~
     講 師 : 株式会社中沢ヴィレッジ 代表取締役社長 小西 弘晃氏
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<経営環境>
1.観光・ホテル業
観光業のGDPの上昇率は、全産業中トップ(2012~2016)にも関わらず、宿泊業は離職率が最も高く、
年間に3分の1が入れ替わる状況。労働時間が長く、休暇取得率は全業種の中でも最低レベル。

2.草津温泉の動向
2019年は宿泊客(225万人)、日帰り客(103万人)とも過去最高の328万人が来訪。
(町の人口6,000人に対して、約300万人が来訪)観光経済新聞では18年連続で1位を獲得していて、
全国1000市町村ブランドランキングでは30位。

3.草津温泉ホテルヴィレッジ
社是 「歩み入る者にやすらぎを 去り行く人に幸せを」
東京ドームおよそ7個分の敷地面積を有する森に囲まれた「森と生きる温泉リゾート」。
年商は約30億円で、従業員は236名(うち外国籍従業員が44名(8か国)在籍)。草津最大級のホテル。

<課題と取り組み>
【全体概要】
入社当初は戦略の枠組みもなく、施設は古くなりつつあり、従業員は頑張っている人が辞めていくような状態。
ホテルオペレーションはど素人な自分でも、「あたりまえ」のことを「あたりまえ」にやることができれば
地域を盛り上げる中小企業として輝く会社になると考え、 部門横断型のプロジェクトを編成。
次の50年を担う若手と6か月を費やし構築。自ら全職場を巡回し、一人一人とつながることにより協働を促す
「場のマネジメント」を実践。1年程度で目標管理制度(MBO)を制定。
 

★KIRINで学んだことの活用:
  企業理念のアライメントは、そんなつながりを今まで意識しなかった人にも肚落ちする。


【課題1】 見えない「価値」を実感し、想像できるようにしないと
ホテルの価値は「1泊2食」ではなく滞在経験にある。自分たちがお客様に何を提供しているのか、
改めて考える機会を設けた。
また、共通テーマのもと、部門間がシームレスに連携し合う「トータルマーケティングプラン」を実施し、
部門の垣根を超えた関係づくりを構築。協力してアイディアを出し合う場を定期的に設けた。
皆で一つの企画を作り出すことで一体感が生まれ、互いを理解することによりマルチタスクで動ける人材が
増えるようになった。

【課題2】 会社の「夢」と方向性を示し、従業員に共感してもらわないと
会社の夢と方向性を従業員に理解してもらい、共感してもらわないと前には進めない。
5年後、10年後にどんなホテルになっていたいのかを従業員全員で共有し「日本の地域経済を牽引する推奨度と
生産性のエクセレントカンパニー」になるというビジョンを作った。
 
 ★KIRINで学んだことの活用:
  傾聴し対話を深め理解し合う(ソシオテック研究所アセスメント結果より)


【課題3】 理念(社是)を、戦略・施策レベルまでに一貫させ「背骨」を作らないと
理念を戦略・施策レベルまで作りこまなければならないと考え、ベースの思想をCSV
(Creating Shared Value:共有価値の創造 M.ポーター)を用いて定め、戦略構築の基盤を築いた。
従業員全員と対話し、組織としてビジョンを実現するためのBSC(Balanced Score Card)を用いて
戦略ストーリーマップを作成。
仕事のつながりや役割の意味を可視化し、全体の動きや各部門の状況を1枚で把握できるようにすることで、
各人が目標を具体的に落とし込めるようにした。
この戦略ストーリーマップ作成時に一番役に立ったものがソシオテック研究所で受けたアセスメントの結果。
 ※キリン時代から毎日鞄に入れて持ち歩いている。
 
 ★KIRINで学んだことの活用:
   CSV(特にShared Value)、BSCの中に従業員起点の経営革新の幹をいれマネジメントする手法、
   戦略ストーリーマップ。
  *従業員起点の経営革新の幹=満足度が上がれば従業員が自律的になり、生産性・収益があがる考え


【課題4】 サービス業は「人」が全て。頑張った人が報われ成長しないと
人は唯一の可変の経営資源であり、やる気によってパフォーマンスに差が出るもの。
人がサービスを提供するこの業界で、頑張った人が報われて成長できなければ意味がないと考えた。

【課題5】 安心して働け、やりがいのある会社にならないと
人事の基本理念は「会社と社員はイコールパートナー」。
安心して働ける環境がどんなものなのか、会社としての取り組みを具体的に示し、従業員たちが実感できるようにした。健康経営優良法人、新・ダイバーシティ経営企業、地域未来牽引企業に選出されたことでブランド力の
向上につながり、従業員満足度も向上。
離職率は3分の1となり、人材が定着し、生産性も向上。こうした取り組みを続ける中で、令和3年入社の応募が
過去最高となった。
  
 ★KIRINで学んだことの活用:
  「会社と社員はイコールパートナー」は、KIRINの人事部時代に考えたこと。


<まとめ>
・ 大企業の「あたりまえ」は中小企業でも通用する
・ 大企業のジェネラリスト的キャリアは中小企業で有効
・ ゴールが具体的で明確(できそうなイメージ)ならば、ヒトのやる気は出る
・ 常に笑顔で従業員との距離を近く
・ 評価と課題はしっかりフィードバック
・ 誰にでもでもわかるにシンプルに説明する

<今後の課題>
コロナ共生時代の戦略見直しの中で、ニューノーマルと適合できるあり方を作っていきたい。
従業員の幸せにつながるかどうかを意思決定の判断基準としながら、生産性の向上やお客様目線を 意識した
改善点に注力しながら、次の目標を見据えていきたい。