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医療機関向けオンラインセミナー「医師の働き方改革」

2022年 08月 01日

医療機関の事務長・労務担当責任者向けに【医師の働き方改革 無料セミナー】を行いました。
今回のセミナーの実践ポイントをご紹介いたします。

■医師の働き方改革について
・医師の働き方改革の目指す姿
働き方改革の目指す姿は、「労働時間の短縮により医師の健康を確保すること」と「全ての医療専門職それぞれが、自らの能力を活かし、より能動的に対応できるようにする」ことです。
そして、この2つを合わせて「質・安全が確保された医療を持続可能な形で患者に提供する」ことが理想の姿です。
・理想の姿に向けた課題
現状の一番の問題は「客観的に医師の労働時間の把握ができていない」ということです。
病院常勤勤務医の約4割が年960時間を超えて時間外・休日労働をしていて、そのうち約1割の医師が年1,860時間超の時間外があるというのが現状です。
そしてそれは医師の自己申告に任されている状況のため、客観的に労働時間を把握することが重要なのです。

■医療機関がこれから取り組むこと
・医師の労働時間短縮に向けた取り組みの進め方
まずは、なぜ働き方改革をするのか、そして病院として一丸となって働き方改革を進めていくということを院長などの経営層から方針表明をすることが肝要です。
そして、医師だけではなく看護師・薬剤師など他の部門も含めた、検討委員会や対策委員会を立ち上げ、実態把握とともに、自分たちの医療機関にあった時間短縮はどのようなものか検討するのが望ましいです。
・医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組みの概要
1. 医師の労働時間管理の適正化に向けた取組み
医師の在院時間について、客観的な把握を行う。「タイムカードはあるが在院時間だけしか把握 されていないので全く労働時間の管理ができていません」という病院も多いです。
何が労働時間なのかの共通認識を作ることが必要です。
2. 36協定等の自己点検
36協定で定める時間外労働時間についてきちんとクリアしているかどうか見直す必要があります。
3. 産業保健の仕組みの活用
労働安全衛生法に定める衛生委員会や産業医等を活用し、面接がきちんとできているかを 確認する必要があります。
4. タスク・シフティング(業務の移管)の推進
タスク・シフト/シェアを進めていく上では、まずは意識改革を目的として、管理職に対して研修をする必要があります。
また、医師には、働き方改革の目的(健康確保)をしっかりと説明をする必要があります。そして、タスクシフト/シェアされる側にも、研修や説明会をすることで不安を解消することができます。
5.女性医師等の支援
働く労働時間に制限のある医師に関して柔軟な働き方を推進しているが、育児や介護をしている人が両立できるような支援ができているかを見直す必要がります。
6.医療機関の状況に応じ医師の労働時間短縮に向けた取組
各医療機関の状況に応じて患者様にも周知をしていくことが重要になります。例えば勤務時間外に緊急でない患者の病状説明は行いません、当直明けの勤務負担の緩和をしますなどです。
とある病院では「働き方改革をしているのでご理解ください」という院長メッセージをホームページに載せている例などもあります。

■取り組み事項の共有
・具体的な労働時間の考え方  【宿日直】
宿日直許可とは、労働基準監督署長の許可を受けて、労働時間の規制の適用除外、つまり“労働時間とはみなさない”ことになります。そして、この宿日直は“常態的にほぼ労働をしない”という内容に限られます。
また、「自病院の常勤先生はほぼ960時間以内だが、大学病院から宿日直許可を取っていないと派遣できない」と言われる医療機関も増えています。自病院の医師に対しては取る必要がないが、派遣をしてもらうためには必要ということです。
・具体的な労働時間の考え方 【医師の研鑽】
医師の研鑽は、所定労働時間内の研鑽は勤務場所でやっていれば通常は労働時間となりますが、所定労働時間外に在院して行うものであっても上司の指示がないのであれば自己研鑽とみなします。
また、上司が暗黙で指示しているのであればそれは労働時間とみなします。
・医師の意識改革
前提としては、医師の自身の意識改革が必要です。自らの健康を確保することが、自身にとっても、また医療機関全体としても、より良質かつ適切な医療を提供する上で最も重要であることを自覚することが重要です。
働き方改革に自主的に取り組み、自らの業務内容や業務体制の見直しや副業・兼業先の労働時間を主たる勤務先に適切に自己申告することが求められます。

■研修でのアプローチ
・医師の労働時間短縮に向けた取り組み(研修)
厚生労働省から医療機関の取り組みに関するガイドラインが出ており、評価項目と評価基準に研修や説明会に関する事項が記載されています。
1つ目は、医療機関内の管理職層に向けたマネジメント研修が少なくとも年に1回は実施されていること。2つ目が、医師に対して勤怠管理や当人が理解すべき労働時間の考え方についての研修が少なくとも年1回は実施されていること。3つ目がタスク・シスト/シェアの実施に当たり、関係職種への説明会や研修を開催するとともに、患者への説明を院内掲示等によって実施していること。
医師の働き方改革に向けて、医療機関としてこれらの取り組みも必要になります。
・管理職向け:労務管理プログラム
医師本人の意識改革を前提ですが、組織として労務管理を徹底していくためには、管理職の日々の指導が重要です。そのため、正しい労務管理の知識や、医師の働き方改革に関する内容もしっかりと理解しておく必要があります。
・医師向け:労務管理プログラム
まずは、質の高い医療を提供していくためにも、一人ひとりの医師がしっかりと休息が取れる、休みを取れる必要があることを理解することが必要です。特に労働時間の考え方の認識を揃えることが重要です。
そして、時間短縮やタスク・シフト/シェアを推進するに当たり、障害になりそうなことを医師の方々に議論していただいて、それを突破していくためにどうするのかを考えてもらいます。
・チーム医療推進プログラム
タスク・シフト/シェアで単純に仕事を振るのではなく、横のつながりをしっかりと作っていくという「連携と対話の重要性」を研修で学んでいただき、そのうえでしっかりとタスク・シフト/シェアをするという仕組みを作っていくと、より効果的に動かせるのではないかと考えております。
特に医療職種同士のカベが高く、お互いの職種のことや仕事のこと、日頃持っている価値観があまり共有されていないという課題があります。そのため、研修の中で相互理解を深めてもらいます。

次回は8月2日(火)13:00ー15:00で【医師の働き方改革 無料セミナー】を行います。
皆様のご参加をお待ちしております。