新着情報
VICアカデミーを開催しました
2022年 10月 25日
VICアカデミーとは、弊社理念にある「学習と成長」の実践の1つとして開催しているVIC社員及び関係者のための
勉強会です。
今回は株式会社モロオ代 表取締役社長 師尾忠和氏をお招きして
「医療業界と医薬卸の使命」をお話していただきました。
師尾忠和(もろお ただかず)
1975年 北海道札幌市生まれ
2000年 東洋大学卒業
2000年 株式会社ソシオテック研究所 入社
2003年 株式会社モロオ 入社
2008年 執行役員(物流担当)
2009年 取締役
2012年 マーケティング・営業
2014年 アセット本部
2017年 取締役副社長
2018年 代表取締役社長
株式会社モロオ
1917年4月に旭川市にて「師尾薬局」として創業。創業以来100年以上にわたり、北海道全域において、地域密着という企業戦略のもと、北海道における医薬品の安定供給とリーディングカンパニーとしての企業体質と地位を確立。
医療用医薬品および一般用医薬品卸売事業を主たる事業とし、人々の健康と生活に深く貢献していく企業として、地域医療・福祉関連事業や、クリニック開業支援事業などを展開。
■医薬品卸の主な機能
物的流通機能・販売機能・情報機能・金融機能と4つある。
・物的流通機能=医薬品をメーカーから仕入れ、薬局、医療機関、クリニックに流通
・販売機能=医薬品を処方していただくよう医師にお願いしたり、メーカーの情報(売上など)を伝え調剤薬局に対し発注を促す
・情報機能=メーカーに対しては、新製品の市販後調査、生産調整で役立つ情報(市場動向など)を提供する
医療機関・調剤薬局に対しては、経営に役立つ情報の提供。
・金融機能=債権・債務の管理機能
■パンデミックや災害時の対応
パンデミックや災害時に備え、災害時医薬品備蓄供給業務を北海道から受託、緊急性の高い医薬品や抗インフルエンザ薬を備蓄している。
新型コロナの場合、ファイザー社のワクチンは宅配業者(一次配送)が行ったが、モデルナ社のワクチンは我々で配送業務を担った。氷点下20度以下での温度管理規定があるが、ワクチン配送用ボックスのコンセントが抜けやすく、常に2人体制で配送を行う必要があった。
胆振東部地震の時は安平町に消毒液を届けるように要請があったが、道路が通行止めとなっており自衛隊と連携して輸送を行った。
■当社の創業と現在
当社は1917年に旭川で創業した。薬は調合してしまうとすぐに劣化するので、昔はすべて現地で調合し、調合したての薬を病院へ届けた。また、原材料を仕入れ、一般の患者さん用の薬も店頭で販売していた。
2009年、札幌市西区に物流センターを建てたが、当初は反対意見もあった。ここではメーカーが出荷した商品を一括で仕入れ、各営業所に配送するセンターと、お客様に直接納品する機能を持ち合わせたセンターとなっており、設備投資は正しかったと見ている。
目指すのはヘルス&ライフの総合企業。現在モロオ単体で年商1,150億円ほどで、関連会社が4社ある。昨今は医療周辺の新規事業にも力を入れていかないと生き残っていけないということで本格的に取り組んでいる。
その1つが医薬品の在庫管理システムであり、自社でシステム構築している。ロボットスーツHALという身体機能を改善・補助・拡大・再生することができる世界初サイボーグロボットも、当初は北海道で独占して販売をしていた。
また、汎用画像診断装置用プログラム「Join」というシステムは専門医が在宅で画像診断ができるため、働き方改革にも効果的であり、現在、北海道大学と弊社を含む数社で共同研究を行っている。
その他、笑いはがんの免疫を高めるという研究のため、国立病院機構名誉院長の先生が、お笑いの株式会社よしもとブロードエンタテイメントと共に、未病システム学会 北海道支部を立ち上げ、当社はその事務局として会をサポートしている。
■当社のサポート体制
生命関連商品、緊急性のある薬は確実にいつでも、どんな状況でも24時間体制で提供する。当社の商品の管理はシックスシグマ(0.00006)以下のミス率。最近GDP(Good Distribution Practice)という、医薬品の適正流通基準に則って、商品・温度管理をするようになってきており、監査が入った時に「こんなにまじめにやっている会社を見たのは初めてだ」と言われた。
■社員が活き活きと働ける企業文化
新入社員研修はテーブルマナーやウォーキングなど思考や角度を変えた研修を取り入れ、約40日間実施している。
また、12年程前から、病院の事務長と経営課題について対話できる人材を育成することを目的として医療経営塾をスタートした。これまで100人以上が受講し、病院の先生たちに「モロオさんのMSは医療経営に詳しいね。」と言われている。また、実際に転職して病院の事務長となった社員もいる。
その他、30年前からC-2塾というリーダーシップをメインとする研修を実施している。その研修を受講することを目標とするなど社員のモチベーションにつながっている。
■社員とのコミュニケーション
男子テニス部は北海道で1位、2位を争うレベル。また、当社最大のクラブは「麺‘Sクラブ」である。毎月最終日曜日にそば打ちをしており、蕎麦打ち4段の社員が数名いる。
本社前の「ミニ大通 お散歩まつり」では、健康測定会も行っているほか、駐車場を開放し、キッチンカーが自由に使えるようにしている。当日は吹奏楽部出身の社員で音楽隊を作って演奏も披露している。地域の清掃活動や献血など積極的に行っており、地域貢献活動にも力を入れている。
■Q&A
・MR(Medical Representative)とMSの違いを教えてください。
MRは自社製品について専門的な知識を提供するが、価格交渉は行わず、あくまで情報の「伝達」「収集」が主な役割で、MSはマーケティングのスペシャリストの略で、医療機関や調剤薬局に対して価格交渉を行い、自社で取り扱っている商品の価格決定を行います。
・例えばA社に所属しているMRはA社が持っている薬の情報提供しかできないのですか?
はいそうです。当社は卸なので複数社の製品の情報提供ができます。クリニックでは、競合薬5種類くらいについて各社のMRから薬の詳細を聞くのは時間がかかるため、「どの薬がいい?」と聞かれることがあります。病院では、抗がん剤など用法や効能が難しくなるので、MRのほうが力を発揮します。詳しい情報や海外の論文、勉強を深掘していくのであればMRと話した方がいいですが、どういう薬を使っていけばいいだろうとか、同じ薬効の薬について比較する情報などはMSの方が適しています。
・文系の学生を採用することが多いとのことですが、なぜですか?
採用でアプローチをする際に、文系の方でも、入社してからでも薬の知識は得られるとアピールしています。