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VICアカデミー「メンタルヘルスケアにピラティスが最適な理由」
2024年 11月 06日
VICアカデミーとは、弊社理念にある「学習と成長」の実践の1つとして開催しているVIC社員及び関係者のための
勉強会です。
「企業活動と税理士の仕事」
講演者:ピラティス・インストラクター 板東亜希子氏
実施日:2024年10月11日(金)
板東亜希子(ばんどう あきこ)
【略歴】
1994年 園田学園女子大学文学部英文学科卒業
1994年 NOVA、リクルートなどで勤務後、司会者として活動、
その後、ビジネスマナー・コミュニケーション中心に企業研修講師を始めると同時に、
専門学校、大学の非常勤講師を務める。
心理カウンセラーの資格をもち、職場・学校のメンタルヘルスに力を入れる
2017年 ピラティス・インストラクターとして活動
2020年 バリューイノベーション・インストラクター
■自己紹介
企業研修の講師で、コミュニケーション・メンタルヘルス・接遇・新人研修が主なコンテンツ。また、神戸学院大学 現代社会学科では、キャリアマネジメントの非常勤講師を務める。
7年前からピラティスのインストラクターとして活動。元々はスポーツに全く縁が無く、運動は日に20~30分の散歩程度だったが、40代半ばから危機感や衰えを感じ、ピラティスを始めた。当初はピラティスの知識は全く無く、近所にできたピラティスジムになんとなく通い始めたことがきっかけ。現在ではインストラクターとして月間延べ80人~100人を担当している。
■ピラティスとは
ピラティスには、マンツーマンのプライベートレッスンと、グループレッスンがある。私のスタジオではインストラクター1人につき最大5人。ヨガとの最も大きな違いは、マシーンを使用する点。マシンには、リフォーマー・チェア・バレル・キャデラックなどがある。リフォーマーは最もスタンダードなマシン。チェアは、高齢者や体幹を維持できない人向け。バレルやキャデラックは、体幹が出来上がっていないとできない、上級者向けの機械。
■ピラティスの起源~現在
ピラティスはそもそも、ドイツ人のジョセフピラティス氏が考案。ピラティス氏は幼少期に病弱だったため、体操選手であった父の影響を受け、トレーニングを始めるようになった。様々なトレーニングを重ねて体を鍛え、体操選手からサーカスの団員にまでなり、世界中を飛び回っていたが、第一次世界大戦の勃発によってイギリスで敵国人として逮捕され、マン島に収監される。そこで、暇つぶしに観察していた猫のしなやかな動きに着目し、ピラティスのトレーニングを考案し、周囲の囚人たちに教え始めた。また、看護師としても勤務していたピラティス氏は、戦争で負傷した兵士たちが寝たきりでもできるエクササイズはないかと考え、ベッドを改良してトレーニングマシンを作り、それが今のピラティスマシンに繋がった。
戦争終結後、ニューヨークのバレエ団が怪我予防にピラティスのメソッドを取り入れ、今に至る。ピラティス氏が86歳で亡くなってからは、弟子たちがメソッドを受け継ぎ、世界に広めていった。
現在ではピラティスは世界でブームになっており、海外セレブやスポーツ選手もトレーニングに取り入れている。特にブームの火付け役となったのは韓国アイドルで、彼らのようになりたいと言ってピラティスを始める人が、今日本でも増えている。
■ピラティスの特徴
ピラティスでは、体と心の総合的なバランスを生み出すことを目的として行う一連のエクササイズを、コントロロジーと呼んでいる。
正しい姿勢とは、耳・肩・股関節・大転子・膝・くるぶしを横から見た時に、まっすぐの線で結べるという姿勢だが、多くの人は姿勢が歪んでるため、体に支障が出ている。そこでピラティスでは、体を正しい姿勢(ニュートラルポジション)に戻すため、常に正しい動きができるように集中してトレーニングを行い、体と心の総合的なバランスを取っていく。
また、ピラティスの呼吸は胸式呼吸。逆に、ヨガは腹式呼吸。腹式呼吸は、リラックスの効果があるのでヨガに最適で、ピラティスの胸式呼吸は、体幹に働きかける効果がある。
■ピラティスと姿勢
正しい姿勢では、頭の重さを支えるために、背骨(脊柱)は緩やかなS字カーブになっているが、普段から正しい姿勢を取れている人は少ない。悪い姿勢には種類がある。
1.後弯前弯型(カイホシス)
背中が大きく曲がって猫背・巻き肩になり、骨盤は前傾し、反り腰になっている姿勢。顎がいつも上がっていることが特徴。足はつま先体重になっている。原因としては、肥満・運動不足・腹筋弱化・妊娠など。この姿勢の人は、肩こり・首懲り・腰痛・足が疲れやすく攣りやすいという支障が現れる。
⇒解消方法は、体幹の強化と、背骨を一本ずつ意識しながら沢山動かすこと。
2.平背型(フラットバック)
背中にS字カーブが見られず真っすぐになっており、頭が前に出ている。骨盤は後傾している場合と正常な場合がある。背の高い男性に多い。原因は長時間の座り仕事、激しい運動のし過ぎや逆に動かさなすぎで筋肉が硬直していること、怪我の後遺症などがある。症状は、肩こり・首こり・腰痛・ぎっくり腰・椎間板ヘルニアなどがある。
⇒解消方法は、兎に角背骨を動かすことと、ニュートラルポジションの徹底。
3.後湾平坦型(スウェイバック)
首が前に出てしまって、骨盤が後傾している。特に女性に多い。過伸展(膝が伸び切っている)が特徴(正しい姿勢では、膝は少し曲がっている)。歯を磨く時や洗い物をする時に、下腹部の辺りが水でびしょびしょになってしまう人は、この姿勢の可能性が高い。この姿勢になる原因は、デスクワークや長時間の立ち仕事。この姿勢の人は、肩こり・腰痛・膝の痛み・疲れやすいという支障が現れる。
⇒解消方法は、体幹強化、腹筋強化
ピラティスは1回のセッションが45分~60分。週に1回のセッションでも、直後の姿勢は良くなるが、翌週には元に戻ってしまう。毎週トレーニングに来て体を動かすだけでなく、トレーニングをすることによって日常生活の姿勢や動きが変わっていくのが理想。
■ピラティスとメンタルヘルス
あるピラティススタジオで、ストレスを強く感じている人たちが、1日1回ピラティスをやるとどうなるかということを検証したところ、身体的にも精神的にも、ストレスに対する耐性が強くなっていることがわかった。私のクライアントでも、ピラティスをすると気持ちが明るくなるという人が多い。これは、背中を動かすという点が非常に大きな要因だと思われる。
何故ピラティスがメンタルヘルスにいいかというと、背骨へのアプローチで自律神経が整うという点にある。背骨・脊柱には神経が通っており、自律神経の調整をしている。だからこそ背骨にアプローチするピラティスは、メンタルにおよぼす効果は大きい。ピラティス氏は、「背骨がしなやかで柔軟で居続けることが、結局は全体の健康につながる」と提唱している。
もう1つはマインドフルネス効果があるという点。ピラティスでは、自分の体はどこがずれていて、どの筋肉を動かしてニュートラルに戻していくということをトレーナーと一緒に考えながら体を動かしていくので、自分の体に意識を集中しないとできない。そのため、動くマインドフルネスと言われるほど、感情コントロールに効果のあるトレーニングだと言われている。
このことから、メンタルヘルスケアとしてピラティスを取り入れる企業もでてきている。企業にとって、従業員1人1人が心の健康を保つことは、従業員にメリットがあるばかりでなく、職場の活性化や、人材獲得力の向上、離職率の低下にも繋がる。今現在、企業におけるメンタルヘルス対策は、上司によるケア・企業内産業医によるケア・民間カウンセラー・セルフケアの4つがあると言われているが、やはり自身によるケアが1番だということで、ピラティスを日常として取り入れることができれば、自らのコントロールが容易になり、より良いパフォーマンスに繋がると考えている。
■まとめ
ピラティスはやればやるほど面白く、心と体は繋がっていると強く感じる。ピラティスは体とマインド、そして精神を完成させると言われている。辛いことや悲しいことがあっても、ニュートラルに戻すことができれば、人はまた進んでいくことができる。ニュートラルを維持するには継続しなければならないが、一回でもピラティスを体験すれば、体の違いを実感できるはずなので、ぜひ体験してみてもらいたい。